永木三月のテイスティングログ: 本物のナポリピッツァ! 都内の人気店3店のマルゲリータをテイスティング!

2015年4月6日月曜日

本物のナポリピッツァ! 都内の人気店3店のマルゲリータをテイスティング!

はじめに

おいしいピザは、本当に香ばしく耳まで美味しい。
今回のテーマは、ピッツァの元祖「ナポリピッツァ」です!

先日、ナポリピザがユネスコの無形文化遺産に申請されたというニュースがありました。
元祖であるイタリアではもともと庶民の食べ物として出てきたピザですが、現在ではその職人技術を始めとして、守るべき伝統になっています。

日本で「ピザ」というと、高い割に美味しくない宅配ピザや、ピザトースト、ピザまんと、どことなくチープなイメージが強いですよね。

しかし、こういうイメージ、そして私たちの慣れ親しむ「切り分けてシェアしながら食べる」「手で食べる」「出前の定番」と言ったピザ文化は、どれもナポリピザにはないものです。

最近は、日本にも本格的なナポリピザを出すお店が増えてきていて、「真のナポリピッツァ」としてイタリア本国から認められたお店は、全国で50を超えています。

ということで今回は、都内の有名店3店で、基本の「マルゲリータ」をテイスティング。ナポリピッツァなので、一枚まるまるを、ナイフとフォークで頂くスタイルです。

ちなみに「マルゲリータ」トマトソース、モッツァレラ、バジリコの3つを具材としたピッツァで、イタリアの国旗と同じ配色。19世紀末当時のイタリア王妃の名が冠された、文字通りナポリピッツァを代表するトッピングです。

本場のナポリピッツァを知りたいという方は、ぜひごらんください!


テイスティング

1. 粉の風味あるピッツァ 中目黒『ピッツェリア・イ・トラットリア・ダ・イーサ』


まずは中目黒の『ピッツェリア・イ・トラットリア・ダ・イーサ』。イタリアの食堂のような装いのお店です。店主の方は、世界ピッツァ選手権で2年連続優勝と、輝かしい経歴で非常に有名です。
訪れたのはランチ。世界チャンプのピザが11000円で味わえるとあって、いつも非常に混雑していると聞きます。


今回頂いたのはマルゲリータは、ランチということもあってなのか具材は最低限。チーズはコシや旨味がもう1つ、ベースのソースも特段旨味のある品ではありません。
一方で生地の方はなかなか良い。確かにもっちり感はあまりなく、こんがりと風味の良い耳をのぞけば素朴な印象が先立ちます。しかし粉の香りが前面に出ていて香ばしく、野性的な味わいは店のコンセプトにも合っていて、納得がいきます。やや粗さを感じることは否めませんが、賑やかな空気を楽しみながら食べるのが好きなら、相性が良いお店かもしれません。


2. 1870年創業の老舗ピッツェリア 恵比寿 『ダ・ミケーレ』


続いては『ダ・ミケーレ』。恵比寿ガーデンプレイスの近くにあるお店です。本店はイタリアで1870年創業という老舗で、本国でも大変有名なピッツェリアだそうです。世界初の支店がこの恵比寿店とのこと。現場で働いていた方が取り仕切っていると聞きますから、ブランドは非常に大事にしているのでしょう。期待が持てます。

メニューは、マルゲリータとマリナーラ(トマトソース、オイル、ニンニク、オレガノ)の2種類のみ。ナポリピッツァの基本と言えるトッピングです。


頂いたマルゲリータは、ソース、オイル、モッツァレラ、もっちりと旨味のある生地で、きちんと繫がりの感じられる味、バランスもよいです。サイズは大きいので、ややパワー頼りに見える味付けは後半やや単調にも感じますが、しっかりまとまっている点は好感が持てます。
お店の雰囲気も、内装を中心に丁寧に作られていました。本場仕込みのピザを味わってみたい方はぜひ。


3.洗練のあるピッツァ 永福町『マッシモッタヴィオ』


最後は『マッシモッタヴィオ』。日本で2番目に、真のナポリピッツァ協会認定店になったのが、同じく永福町の『ピッコラターヴォラ』。そちらで働いていた職人さんが独立して立ち上げたのが、このお店だそうです。
ランチはサラダとドリンクがつきますが、メニューは基本的に昼夜共通。


今回いただいたのは「マルゲリータ・コン・ブフォラ(水牛のモッツァレラチーズ)」(2250円)
生地はもっちりとしていて、味に伸びがありますが歯切れもよいです。フォカッチャのような、美味しいイタリアのパンを思わせるじんわり深い美味しさ。細かいところまでしっかり作り込まれています。
水牛のモッツァレラチーズも滋味がありジューシーなソースとのコントラストはなかなかのもの。美味しいピザを知りたいという方には、一番にすすめたいお店です。


おわりに:ナポリピッツァとは?

その伝統を絶やさないようにと、1984年にナポリに設立された「真のナポリピッツァ協会」によれば、ナポリピッツァには多くの規定があります。その規定を一部引用してみましょう。

特産品としての「真のナポリピッツァ」の呼称の使用は、ピッツァ・マリナーラ (トマト、オイル、オレガノ、 ニンニク)およびピッツァ・マルゲリータ (トマト、オイル、モッツァレッラあるいはフィオル・ディ・ラッテ、 オイル、バジリコ)の2種類のピッツァに限られ、なおかつ作業の工程、最終製品の官能的、商品学的 特徴、ならびに原材料と調理・加熱の方法が、本規約に定められる必要条件を満たしている場合にお いてのみ認められる。焼成された「真のナポリピッツァ」は円形で、その直径は35cmを越えてはならず、立ち上がった縁(「コ ルニチョーネ」と呼ぶ)があり、具の載った中心部を持つ。 中心部の厚みは10%ほどの誤差を許容範囲として0.4cmとし、完全にオイルとなじんだトマトソースの 赤がくっきりと目立ち、使用する素材によってはオレガノの緑、ニンニクの白、おおむね均一にちりば められたモッツァレッラの白、焼成で深い緑色になるバジリコの葉などで覆われている。 「コルニチョーネ(額縁)」は1~2cmで均一にふくらみを帯びており、気泡や焼け焦げのないきつね色 でなくてはならない。「真のナポリピッツァ」は柔らかくて弾力があり、本のような形(リブレットと呼ぶ)に簡単に折ることができ る。良く熟成して焼いたパンのような独特の風味のあるコルニチョーネ部分と、余分な水分だけが抜け て程よい濃度を残したトマトの酸味、そして控えめなオレガノ、ニンニク、バジリコ、火の通ったモッツァ レッラ、それぞれの風味が良く混じり合っていなくてはならない。 1984年6月14日に制定された最初の真のナポリピッツァ協会規約の通り、ナポリの料理文化の伝統と 規範に反しない範囲での仕様の変更は、協会で評決を得られれば認められるものとする。出典はこちら

これだけでも十分細かな規定に見えますが、これはあくまで概要のみ。これ以上に細かな決まりが、調理法、発酵を行う温度などのコンディション、材料の分量などに、入念に定められています。

もっと歴史のある食品(チーズ、ワインなど)に比べれば、ピザの歴史は短いものですが、こうした詳細な規定からは、ピザがイタリア食の伝統として息づいているのがよく感じられます。

ピザには味気ない思い出しかない、という人こそ、おいしいナポリピッツァを一度お試しください!

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